愛を欲しがる優しい獣
会社で見る鈴木くんはやっぱり王子様然としていて、隣に並んでいると気恥ずかしかった。
「鈴木くん、昨日うちに本を忘れていかなかった?」
これなんだけど、と言いながら小脇に抱えていた包みを差し出す。
鈴木くんは急に青ざめてうわっと呻いた。
「…中身見た?」
「…うん。いけなかった?」
「俺のです」
「え?これ本当に鈴木くんが買ったの?」
「ごめん…。帰りに取りに行くから…。ここではしまっておいてくれる…?」
鈴木くんはそう言うと、ふらふらと自席に戻っていた。
(知られたくないのかしら…セカイジャー)