愛を欲しがる優しい獣
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「お姉ちゃん、合コンに行ってみようと思うの」
私の一大決心は驚くほどあっさりと家族に受け入れられた。
「そう、行ってくれば?」
樹は素っ気なく言うと、皿に盛ったおかずに箸をのばす。姉が合コンに行こうが対して興味ないようだ。
「ご飯は私が作るし。ひろむの迎えは櫂が行くでしょう?」
櫂は早苗に同意するように頷いた。
「鈴木より良い男を捕まえてきなよ」
「こら、櫂!そういう言い方は鈴木くんに失礼でしょう」
私は櫂を叱りつけた。本人のいないところで侮辱するなど失礼だ。
「双子とひろむは懐いているけど、俺はあいつのことあんまり好きじゃない」
「でた、櫂のシスコン」
早苗がくつくつと笑う。櫂はむっと顔をしかめた。こうなるともう止められない。