愛を欲しがる優しい獣
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「おい、起きろよ」
肩を揺り動かされて目を開けると、不機嫌そうな渉の顔がアップで映った。
「いつまで経ってもこっちの部屋に来ないと思ってたら寝てたのかよ」
「悪い」
満腹になったせいかすっかり寝入ってしまったようだ。
時計を見ると時刻は深夜2時を回ったところだ。夜明けは遠く、街はいまだに闇に包まれている。
「朝までにやることがたくさんあるんだから、寝ぼけるなよ」
「そうだな。さっさと終わらせて帰るか」
愛しの彼女は今頃きっと夢の中にいる。
……きっとココアのように甘い夢の中。