サムライガール!!
同じような男たちが後方からもやってきている。
これは大変まずい状況じゃないか。
アーネストは嫌な予感を振り払うように抜け道を探したが、ぎらついたいくつもの瞳しかそこにはない。
何故こういうときに脇道がない所で立ち往生してしまったのか。自分の不運さと間抜けさに嘆く暇すら与えられなかった。
あっという間に挟み撃ちにされた現実に頭痛がしてくる。
軽い偏頭痛に悩まされていたが、アーネストはあっさりと逃げることを諦めた。
この圧倒的不利な形勢を引っくり返す力は自分にはない。
それを自覚しているから無駄な抵抗をせず大人しく包囲網の中央に立っている。
諦めが肝心というモットーを全身で表現していた。ただもう面倒くさいということと疲れたといってしまえばそれまでだった。
近すぎず遠すぎない微妙な距離感。
アーネストに飛び掛かっていつでも手に持っているバッドやホッケーのスティックみたいな棒でぶん殴ることはできるし、反撃しようにも行動に移そうとした瞬間やはりリンチにできる。
結局のところアーネストにはミンチにされる結果しかまっていないということだ。
絶妙な距離のとり方にこいつらも素人ではないんだなとずれたことに思考を巡らせる。
すると黙ってしまったアーネストの代わりに、男たちの中からニット帽の男が一歩前へ進み出た。