ストーンメルテッド ~失われた力~
城の自然が実るホールの中、二人の姿とヴィーナスの姿があった。
「遅いエンデュ」
ジュノは、彼を見るなりそう言った。
そして、エンデュは二人の元へ歩いた。
「何してたんだ?」
と、カゲン。
「......いや、その」
エンデュが、どう言おうか考えていると、ダは三人の近くへ寄り、話し出した。
「その者は、噴水広場で熟睡をしておった」
「大丈夫なの?」
そう言って、ジュノはエンデュの顔色を窺った。
「......あぁ」
それ以上の言葉は出ない。
すると、ヴィーナスは口を開いた。
「忠告をしよう。そなたらのストーンはもうじき元に戻る」
そしてダは、三人の背後へゆっくりと後ず去る。
「残り......数日っと言ったところであろう。
だが、そなたらが一番気に掛かっている事は、ストーンが溶けた原因と失われた記憶の事だろう。......残念ながら、まだだ」
三人は、期待はずれでガッカリとした表情を一瞬、浮かべた。
「しかし......」
真剣な表情で、ヴィーナスの言ったその一言に、三人の顔色が変わる。
「ダ。お前なら何かを知っているのでは、あるまいか?」
ヴィーナスは、三人の背後で密会の様子を見守るダに、そう問いた。
ヴィーナスは、ダに生まれ持った並外れの能力がある事を誰よりも知っていた。
「ヴィーナスよ。遂に私に頼るか……。
全てを教えるつもりはないぞ。しかし、一つ言えることがある」
「それは、何なんだ?」
カゲンは、振り向いてダに問いた。
「それは、悪い者ではない。......ストーンを溶かしたのには、悪意を感じぬぞ」
「っなんだよ、それ。誰々が、とかあるだろう?」
カゲンは再び、期待はずれの表情を浮かべる。