ストーンメルテッド ~失われた力~
最後の日
「よ! 明日、試合なんだって?」
彼の背を叩き、そう言ったのは和田 朝陽だった。
相変わらずにボロボロの服を彼は身に纏っていた。Tシャツにはよく目立つ穴が空いている。
まぁ、卒業後に彼がいい職につけられたらこんな暮らしはおさらば出来ることであろうと、隼人はふと思った。
「あぁ」
「俺、見に行くから」
そう言ってもう一度、隼人の背を叩くと部活の為、校内へと朝陽は向かって行った。
......そうして始まるのは
部員たちからの冷たい視線と、自分の陰口、悪口である。
いつものことでありながら、悩みに悩んでいるこの事実。
未だ、部活動を辞めずに最後までやりぬこうとする自分がいる事に自分で驚く。
しかし、そんな自分があるのは勿論......カゲンがいるからだろう。他には考えられない。
こんな、辛い学校生活だったが、隼人には一つだけ変わったことがあったのもまた、事実。