ストーンメルテッド ~失われた力~
エンデュは、ジュノの顔の両端に、両手を優しく添えると、言った。

「......ジュノ。あそこで何があった?」

問い詰められたジュノは、震えた唇をおもむろに開くと、不安な表情に、重たい口調で、言った。

「............私は」

......だが、口が途絶える。言いにくそうだ。

それでも、エンデュは真剣な表情を浮かべ、ただ、私がまた、口を開くことを待っていた。




......そんな、言えるはず......だって、私が見たのは過去の記憶。


そこで、罪深い過去を知ってしまった。


私の過去の記憶が消された訳も、ぼんやりと理解が出来る気がする......。


だが、言わなければ。




アムール国の姿は、たちまち変わっていく。

“彼ら”の暴走は止むことをえず、この国の姿は変わり果てていった。



“彼ら”のバタバタと鳴り続ける羽の音が止むこともなく。




― END ―
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