ストーンメルテッド ~失われた力~
逃げ惑っていたところ、見覚えのある神が見えた。金髪に、恐ろしいほどに整った顔立ち......あれは、エンデュだ。
彼が、森の精霊達の前に立ちはだかると、精霊達の牙は見る見るうちに消えていった。
すると、エンデュに怯えたかの様に、森の精霊達は何処かへと逃げて行った。
そして、エンデュは後ろにいるカゲンの方を振り向いた。
「......だから言っただろう。この罰は、全然軽くない」
カゲンは、唖然と立ち尽くしていた。
すると、二人の元へようやくケルノは戻って来た。
「エンデュさん、やっぱ凄い。......おや?」
そう言うと、ケルノはカゲンの左手首のきっかりと付いた歯形を目にした。
「これはいかん。早くに町へ戻り、手当をし無ければ。このままだとカゲンは死ぬ。凶暴な森の精霊の牙は毒。だから、ほっとくと死ぬダ」
「何?」
エンデュは焦った口調で言った。
そうして、三人は踵を返して町へと向かう。
花の精霊はその頃、鈴蘭の花の上でちょこんと座ったまま居眠りをしていた。
その姿は何とも愛らしいものだが、丁度そこに、足元にいる小さな精霊の存在に気付かず、こちらへ三人は向かって来ていた。
カゲンに再び踏み付けられそうになり、精霊は翼を広げて一目散に飛んで行き、またもや別の花へと避難した。
そうして、花の精霊はぷっくりと頬を膨らませて顔を真っ赤に染めた。
その姿もまた、愛らしいものだが、本人は恐らく本気で怒っているのだろう......。
そうして、森から抜け出した三人は無事、その後は何事もなく町へと戻った。
エンデュの家へ三人は行き、二人係でカゲンを手当していた。
「カゲン、じっとしていろ。もう少しで終わる......」
エンデュはカゲンの左腕を抑え、ケルノは特製の真っ青な塗り薬を容器から素手ですくい出すと、くっきりと歯形が付いた傷口に塗ろうとした。
「ちょっと、待ってくれよ」
カゲンは、怯えてケルノの手を止めた。
正体の知れない、青々とした色の塗り薬が恐ろしい。
「もう少しで終わる。カゲンワ我慢する」
そう言って、ケルノは再び傷口に塗ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。エ、エンデュ、ジュノは?」
「ジュノは今朝、ライト•ノーノに会いにアネモイ国へ向かった」
「こんな時に、何だよ......」
その瞬間、純情じゃないヒリヒリとした痛みが走った。見ると、ケルノは薬を傷口に塗り付けていた。
「いー、いっ......」
カゲンは、聞き苦しい声をつい漏らした。
そして、ケルノは包帯をぐるぐる巻き付けた。
「今日ワ安静にしてろ。罰ワ明日も続く」
「何で......人形草は手に入れただろう?」
「取られてしまったダよ。森の精霊に......。また明日頼みます。でないと、僕ケルノ困る。でないと、ジュノさん困る」
「わ、分かってるよ」
ケルノは、用がすむと出て行った。
カゲンは、ケルノが出て行ったその扉を見詰めてため息をつく。
「気が重たいねぇ......」
「......仕方が無い、アムールの為だと思え」
エンデュは、出来る限り気を使ったつもりでそう言った。
昼寝をしていたイヴは、起き上がるとカゲンに近づき、心配そうな顔を浮かべた。
彼が、森の精霊達の前に立ちはだかると、精霊達の牙は見る見るうちに消えていった。
すると、エンデュに怯えたかの様に、森の精霊達は何処かへと逃げて行った。
そして、エンデュは後ろにいるカゲンの方を振り向いた。
「......だから言っただろう。この罰は、全然軽くない」
カゲンは、唖然と立ち尽くしていた。
すると、二人の元へようやくケルノは戻って来た。
「エンデュさん、やっぱ凄い。......おや?」
そう言うと、ケルノはカゲンの左手首のきっかりと付いた歯形を目にした。
「これはいかん。早くに町へ戻り、手当をし無ければ。このままだとカゲンは死ぬ。凶暴な森の精霊の牙は毒。だから、ほっとくと死ぬダ」
「何?」
エンデュは焦った口調で言った。
そうして、三人は踵を返して町へと向かう。
花の精霊はその頃、鈴蘭の花の上でちょこんと座ったまま居眠りをしていた。
その姿は何とも愛らしいものだが、丁度そこに、足元にいる小さな精霊の存在に気付かず、こちらへ三人は向かって来ていた。
カゲンに再び踏み付けられそうになり、精霊は翼を広げて一目散に飛んで行き、またもや別の花へと避難した。
そうして、花の精霊はぷっくりと頬を膨らませて顔を真っ赤に染めた。
その姿もまた、愛らしいものだが、本人は恐らく本気で怒っているのだろう......。
そうして、森から抜け出した三人は無事、その後は何事もなく町へと戻った。
エンデュの家へ三人は行き、二人係でカゲンを手当していた。
「カゲン、じっとしていろ。もう少しで終わる......」
エンデュはカゲンの左腕を抑え、ケルノは特製の真っ青な塗り薬を容器から素手ですくい出すと、くっきりと歯形が付いた傷口に塗ろうとした。
「ちょっと、待ってくれよ」
カゲンは、怯えてケルノの手を止めた。
正体の知れない、青々とした色の塗り薬が恐ろしい。
「もう少しで終わる。カゲンワ我慢する」
そう言って、ケルノは再び傷口に塗ろうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。エ、エンデュ、ジュノは?」
「ジュノは今朝、ライト•ノーノに会いにアネモイ国へ向かった」
「こんな時に、何だよ......」
その瞬間、純情じゃないヒリヒリとした痛みが走った。見ると、ケルノは薬を傷口に塗り付けていた。
「いー、いっ......」
カゲンは、聞き苦しい声をつい漏らした。
そして、ケルノは包帯をぐるぐる巻き付けた。
「今日ワ安静にしてろ。罰ワ明日も続く」
「何で......人形草は手に入れただろう?」
「取られてしまったダよ。森の精霊に......。また明日頼みます。でないと、僕ケルノ困る。でないと、ジュノさん困る」
「わ、分かってるよ」
ケルノは、用がすむと出て行った。
カゲンは、ケルノが出て行ったその扉を見詰めてため息をつく。
「気が重たいねぇ......」
「......仕方が無い、アムールの為だと思え」
エンデュは、出来る限り気を使ったつもりでそう言った。
昼寝をしていたイヴは、起き上がるとカゲンに近づき、心配そうな顔を浮かべた。