ストーンメルテッド ~失われた力~
..................しばらくたった頃。
突然、扉の開く音が聞こえて二人とイヴは振り向いた。
それは、ジュノだった。彼女は疲れ切った顔を浮かべて、二人を見る。
ところが、問題があった。それは、彼女の両手。どういう訳か、その両手は鏡と化していた。その両手を奇妙に見詰める二人とイヴの姿がはっきりと映り込んでいる。
「どうした? その......手」
すると、ジュノは不機嫌な顔を浮かべて即座に言った。
「あなたに言われたくないわね。あなたこそ、その腕......どうしたの? 罰で、何かあったとか?」
そうするとジュノは、相当疲れていたのか即座にエンデュの冷えきったベッドの上に座り、力を抜いた。
すると、エンデュは口を開いた。
「あぁ。人形草を採りに手伝う事が罰だった様だ。だが......その人形草を餌とする森の精霊達が押し寄せて来て、この有様だ。........................俺は、ヴィーナスにカゲンの居場所を聞き付けて名も無き森へ向かったが、既に......この状態だった。......まったく」
「その精霊の牙には毒があるのよ。知っていた?」
「いや......」
そうして、カゲンはジュノの両手を再び見詰めると言う。
「ジュノ。本当に、それ、どうしたんだよ」
すると、ずっとジュノの両手を見詰めていたイヴは呟いた。
「......今日は、色々な事が起こる」
「あぁ。全くだ、お前も君も..........................................ったく」
エンデュは、二人を交互に見ながら言った。
「私じゃなく、ライト•ノーノに言ってよね。元はと言えば......そう! ライト•ノーノのせいよ」
興奮気味でジュノはそう言った。
「ちょっと待て、ライト•ノーノ先生は偉大なる光の力を秘めた神だ。その、ライト•ノーノ先生を罵倒する様な言い方じゃないか。ジュノ」
「分かった。説明すればいいのよね。そうすれば、あなただって理解するでしょ?」
ジュノは、エンデュの切れ長の目を見詰めながらそう言って事を語り始めた......。