ストーンメルテッド ~失われた力~
数日後
また、いつもの橋で彼にあった。
「いっつも、ここだよね」
「......ここがいいんだ」
「どうして?」
「ここに流れる川は、自然そのものだ。人間界では、自然がある場所にいないとどうも落ち着けなくてな......」
「そ、そうだったんだ。
......なんだか、今日のエンデュ......顔色良くないよ?」
そう言うと、理子はエンデュの顔をのぞき込んだ。
「ここ最近は、色々ありすぎだった......。
とんでもなく世話の焼ける友達がいてな......。一人は、毒をもつ森の精霊に噛まれてしまい、一人は、両手と後ろ首筋が鏡と化した。そんな状態だから......今は、二人とも人間界への出入りは禁止されている」
「え、じゃあ......エンデュだけじゃ無いの? ............その、ストーンが溶けてしまっているのは」
「......あぁ」
「それって、とんでもない事だよね。だって、神様の力を失った神様が数人いるってことは人間界にも影響があったりしないのかな?
......例えば、エンデュなら、思いやりの神様だし、もしかしたら、どこかに思いやりを忘れた人達がいるんじゃないかな? 溶けたストーンの影響で......」
「あまり君は深いこと考えるな。それを考える必要があるのは神だけで充分だ。......いいな?」
「う、うん」
「じゃあ、俺はもう......帰らないと......。病人の友達が心配だから」
「そうだよね......。じゃあ、また今度」
「あぁ」
「大変だね、神様も」
「そう言う、人間も大変だな」
「え?」
「あの学校が嫌でも頑張って通っているじゃないか。君は......すごいと思うよ?」
「え、あ......気が付いてたんだね」
「......当たり前だ」