ストーンメルテッド ~失われた力~
「もういいわよ、お疲れ様」
ジュノがそう言うと、踊っているように見えた妖精の背後から......
“ それ ” は、ひょっこりと小さな顔を覗かせた。
......と思うと、また顔を引っ込める。
しばらく、妖精の死体の背後に隠れる “ それ ” は顔を出さなかった。
「何だよ......そう言う事か」
そう言うと、カゲンは “それ” がいる瓶に近づいた。
「大成功だったな......」
「えぇ」
二人は満足な表情で言った。
「......出ておいで?」
カゲンは、優しく呼び掛ける。
すると、“ それ ” はちらっとだけ顔をのぞかせてから......
また、顔を引っ込めた。
「......大丈夫。出ておいで?」
そうして、“ それ ” はもう一度、顔をのぞかせた。
「そうだ......大丈夫、大丈夫だ......出ておいで?」
すると、ようやく “ それ ” は、ゆっくりと恥ずかしがる様子で姿を表した。
背丈や体格は、その妖精の死体と何ら変わりはない。
しかし、耳はとんがっており、服は緑色の美しいドレスに身を包み、右腕からは小さな花や草が所々、生えていた。