檸檬-レモン-



仕事が忙しいを理由に、コンビニで買ってきたお弁当を食べている時インターホンが鳴った。


一人暮らしをしているマンションを訪ねてくるなんて、だいたい勧誘かセールスだ。


何て断ろうか、唐揚げを頬張りながら仕方なくモニターを覗く。


そこには戸惑いながら瞳を揺らす若い男性が立っていた。



「…はい」


通話を押して応答する。

かえってスーツではなく私服なのが怪しいと思ったけれど。


「あ…初めまして。引っ越しの挨拶で来ました…」


あー…そう言えば最近引っ越し業者が下の階に来ていたっけな。


「ちょっと待ってください、開けます」


一度玄関にある鏡で自分を確認する。


ダサい部屋着なのはもう仕方ない。



「はい」


しかし、ドアを開けて後悔した。



.
< 10 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop