檸檬-レモン-


目だけで返事をする。


次で降りる駅だ。

とっくに目の前は空席だけれど。

こっちの方が落ち着く。



「あれ、行こうよ」


山口が指差したのは、広告。


今年も無縁だと思っていたから、大して気に止めていなかった。



「花火…大会?」


私と山口が!!?


そして電車のドアが開いた。
山口は平然として、電車を降りていく。
私も慌てて後に続いた。


「ねぇ、ちょっと!どういうこと?」


山口が何を考えているのか分からない。


「どういうことって…気晴らしに、だよ」



泣きそうになったのは、どうしてだろう…





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