檸檬-レモン-


「早苗、絶対良いと思うんだけどな2人」


あれだけ『山口くんイケメン!早苗大好き~!』って騒いでいた早苗に、勧められるのはすごく複雑というか…


「あのさ、あたし山口とはただの友達だよ?」


「早苗は、男女の友情ないと思ってるもん。自分では友達だって思っていても、実は下心があったり…その逆だってあるし」


「ないない!あり得ない!仲良いけどさ」



仮に山口が私に下心なんて持っていたら…
いや、想像すらつかない。


だって、本当に友達だから。仕事仲間だから。

そんな感情、全くないんだ。


今週の土曜日、花火大会に行くけども。


面倒だから早苗には言わないでおこう。


レモンがかかった豚カツは、酸っぱくて喉の奥がキュッとする。

刺激が欲しい、そう思ったのは確か。

何の変哲もない毎日に、目が覚めるような刺激が。


私だって、恋したい。



.


< 37 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop