檸檬-レモン-
「ああああぁ…」
あの後、山口はいつも通りで。
駅まで私を送って帰っていった。
一人になって改めて動揺する。
頭を抱えて、発狂しそうだ。
夢?現実?どうして?
本当に、キスしたの…?
あの柔らかさを思い出すと、居ても立ってもいられなくなる。
恥ずかしすぎて、くすぐったい感じ。
このまま、山口とトモダチでいられない。
「ああああぁ~」
ダメだ。自分が自分じゃないみたい。
扇風機を強にして、思いっきり吹かれてみる。
額に滲んだ汗が、風を受けて涼しいけれど。
胸の奥の熱が引かない。
引くどころか、更に燃え上がる炎みたいだ。
どうすればいいのか、分からない。
どんな顔して、会社で会えばいいの。
山口 翔…。
酔った勢いで間違っちゃったって、笑って流してくれたらどんなに楽か。
無かったことにしてくれたら、私だって…
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