檸檬-レモン-



「さあ、白状しなさい。奈々、山口くんと何かあったんでしょ?」


昼休み。

いい天気だからと、パン屋で買ったサンドウィッチを近くの公園で頬張っていた。

早苗は日焼けを過剰に気にしてブツブツ文句を言っていたけれど。

真っ青な空の下で、公園の緑を見ながらのお昼は好きだ。


ちょうど木陰の下のベンチが空いていたから、早苗の不満も少しは解消されただろう。


「な、なんでそう思うのさ」


「あからさまだもの。朝の奈々は」


私は、意を決して早苗に花火大会のことを話した。


早苗はニヤニヤして、『やっぱりね』とくりくりした瞳を輝かせていた。


「奈々はどう思ってるの?」


どう思ってるか…


「分からないよ…だって、ずっと友達として、仕事仲間として見てたから…」


突然、好きと言われても分からない。


「そうっかぁ…早苗はいいと思うのに」


いくら考えても、途中でフリーズしてしまうんだ。


山口の隣は、楽しいと思うし、そのままの自分でいられる。

でも、恋愛対象としてとなると…




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