檸檬-レモン-



「駅前にね、新しくオープンしたカフェに行きたいの」



同期の早苗は、にこにこ笑って1枚のチラシを私に見せた。


「へぇ、こんなお洒落なお店出来たんだ?」


「奈々貰わなかった?1週間くらい前から駅で配ってたよ」


どうだろう。多分貰っていない。


「あたしティッシュさえ受け取らないからなあ…」


それよりも混んでいないのだろうか。


昼休みに入った途端、究極にお腹が空いてきた。


早苗は、可愛い女の子。見た目も中身も全部可愛い。

私もこんな女の子になりたかったと、早苗と一緒にいると思う。


「早苗はね、もうメニュー決めてるんだ」

「なに?」



早苗のふわふわした綺麗な巻き髪が、風で揺れる。


「これ!」



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