檸檬-レモン-



「来月の営業企画案に、胡桃沢の企画を通すことが決まった。細かい作業指示など、もう一度見直して出して欲しい」



「はい。ありがとうございます」



主任から自分が作成した企画案を受け取って、心の中でガッツポーズをきめた。


先日の会議で、リベンジを果たすことができたのだ。


「奈々おめでとう!今日はお昼、早苗が奢る!」


「ありがとう」


「今日はね、中津さんと食事に行くの」


そう言われてみれば、今日の早苗はお洒落に気合いが入っている。


「良かったじゃん。うまくいってるんだね」


早苗は幸せそうに、頷いた。
ほんのり頬をピンクに染めて。


「もう、悟くんからは卒業するの」


結局、悟くんは彼女と別れるつもりがないらしい。辛かっただろう…。

好きな人の一番に、なれなかったのだ。


「それがいいよ」


私は、仕事頑張らなくちゃ。

ぐっと伸びをして、クッキーを口に放り込んだ。


お昼休みまで、もうひと頑張り。


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