女は強か者、そして秘めるモノ


さて。トレーニングルームにて体を鍛える事を常とするセトにもソレは例外無く向けられていた

セトの居場所の様にもなっているトレーニングルーム

ソコでダンベルを上げ下げしながら汗を流していた昼下がり、小さくトントンと扉が来訪者を告げた


「入っても良いですか??」

舌ったらずな。少しゆっくり目の口調に小さく舌打ちをしながらも特に拒否する理由も見当たらない

「あぁ」

面倒な相手が来たと内心感じるのには理由があった

「お邪魔しま~す!」
「何か用か」

やや食い気味で迷惑そうなセトに全く意を介さない感じのマリン

「え?う~ん・・・用はないですね。強いて言うならば暇つぶしです」

「だったらホラ。あそこで遊んでる奴らンとこにでも行け」

窓際で顎で示した眼下には楽しげに釣りをする我が仲間たちの姿

「ここってセトの部屋?」

マイペースな彼女には何を言おうが全くダメージを与える事は出来なさそうだ

「見たら分かるだろ?トレーニングルームだ」

「ふぅん、面白いモノがいっぱいだよねぇ」

「おい!その辺のモノに気安く触るなよ!」

「お近づきの印に!私のスペシャルマジックショー!ン~・・・え~い!」


杖を滑らかに振って派手な動きの割には以前見たモノと全く同じの手品芸にセトの視線は冷たい

「面白かったがソレはもう見た。別のが出来る様になったらまた来い」

部屋から出て行けと言わんばかりの怖い顔だった

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