女は強か者、そして秘めるモノ
キッチンへと入ると彼女は更に面倒な面子と共に居た
「あら。あなたもご一緒しない?」
仲間達の中では少し年上のニキが優雅にコーヒーを啜りながら穏やかに笑う
何もかもを見透かされているようで、正直セトはニキが苦手だ
「あ?・・・あぁ」
キッチンに居たのはニキとアイリーン、そして側にはユイリーがちょこんと座っている
一刻も早く彼女をこの耳年増の檻から連れ出したい気分だが
そうは簡単にいきそうにない
ユイリーもコーヒーを煎れて貰ったのか嬉しそうにニキの隣に収まっている、アイリーンと違う穏やかなニキの雰囲気はユイリーに安心感を与え、ユイリーはかなり懐いているのだ
「オーブ係だったんじゃないの?サボり?」
「休憩時間だろうが。問題ない」
『マリンは、、、どうしたの?』
「その他諸々に手品を見せてる」
彼女は“以前”と違いコーヒーに砂糖もミルクも入れずに飲んでいる
大人になったという事かもしれない
「私、思うんだけど。何だか2年位前のユイリーに似てるわよね?マリンって」
『私ですか?』
ニキを挟み、ユイリーとアイリーンが目を合わせた
「分かるわ。彼女16だし」
マリンは箱に詰められていた期間を除けば16歳、ユイリーは18歳だ
因みにアイリーン、ライル、セトは19歳、ニキは23歳である
「セトは?どう思う?」
「っ!・・・別に・・・」
マリンを面倒に感じるのはこの二人、アイリーンとニキに原因がある
何かって言えばマリンの事で話をふってくるからだ
ニキの怪しげな視線はユイリーに向けられ、目が合うとニコリと笑んだ
「好きなタイプなんじゃないのかしら?ねえ、ユイリー?確か言ってたわよね?」
いつだったかしら・・・あれは・・・
と空々しく考えるフリなんかをして
「そうそう!パジャマパーティーの時に聞いたわ!“可愛くて素直”な女が好きだって」
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