女は強か者、そして秘めるモノ




可愛くて素直な女が良いかもな



確かにそんな話をした覚えがあったが

厳密に言うなら

好いた女が“可愛くて素直”だっただけで

可愛くて素直な女が全て好きな訳ではない

そこん所を今こんな場所で詳しく説明なんかする余裕もなければサービス精神も持ち合わせては居ない

「昔の話だ」

「今も“素直”な女がタイプなんでしょ?」

ゆっくりと言葉を噛み締める様に紡ぐニキに何か意図があるのかと勘繰り始める

「あ?何なんだ?」

『私。そろそろ失礼しますね。お日様が沈んじゃいますから・・・』

早々に立ち上がったユイリーは足早にキッチンを出ていってしまった

「あらやだ、逃げられちゃったわ、不覚」

「何だ?何の話をしてる」

「何でもないわ。この話はおしまい」

柔らかく微笑むニキは何かの意図があっての会話だったに違いないが

ここで突っ込めば自分が痛い目に合うのは分かりきった事

口で叶う相手ではないと言う事だ



風が強くなってきた

今夜はもしかしたら雨が降るかもしれない

雨が降ると必ず思い出す事がある

“いつか”の雷の日、胸の中に力いっぱい抱き締めた

君の事を思い出す



今夜雷が鳴ったら

君はどうする?


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