ヘタレ彼氏と甘い嘘。
***
『はぁ……。』
楽しかった映画のあとに私の口から出たものは、重い重いため息だった。
なんだろう……疲れた。
楽しかった筈なのに.
『あれっ、香乃ちゃん帰ってたのかい?おかえりねぇ~』
『ただいま、おばあちゃん』
小さい頃に親が亡くなり、
今はおばあちゃんと2人暮らし。
最近は心配かけたくなくて一人ぐらしも初めたけど、なんだかんだこっちにいる。
お父さんとお母さんがいなくなってもちゃんと生きてこれたのは、おばあちゃんが良くしてくれたからだと思う。
今では私の一番の心の支え。彼氏はいる。一応。
一応。
それは、名前だけの恋愛。
好きでもない、嫌いでもない。だから何をされても別になんとも思わない。
いいの。
……これで、いいの。