空を 描く
「分かってるって」


どうせリョウタのことだからすぐにダウンするんじゃないかって
思ってたけどそうでもなかった。自転車はすいすいと進んでいく。

「あたし、重くない?」


「あ、意外と平気。」


「意外とってなに!」


リョウタは笑って誤魔化している。
普通に自転車をこいでいるリョウタの横顔がかっこよかった。

リョウタの少し染めている茶髪。
最近になってあけたピアスの穴。そこについているピアスがきらきら
輝いて綺麗だった。がっしりとした体系、整った顔。

リョウタの何もかもに惚れてしまった。
告白された時は軽い気持ちで、ただの興味本位で、彼氏が欲しいが為に、
付き合った。まさかここまで好きになるなんて思ってもみなかった。
飽き性のあたしのことだから一週間ももたないんだろうって思った。

でも、付き合っている日数が増えれば増えるほど、あたしはリョウタに
どんどん惹かれていった。大好きになっていった。


「ねえー、どこ行ってんのー?」


「まだ秘密だし」


「いい加減教えてってば! 何か怖いじゃん…」


「大丈夫、絶対あいが喜ぶ所だから。喜んだら1000円な。」


「やだーっ! じゃあ、絶対喜ばない!」


吹き抜ける風がすごくすごく気持ちが良かった。
温かい大きなリョウタの背中が何とも言えないくらいに
居心地が良かった。
ふんわりと香るリョウタの香水の匂いが好きだった。


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