涙の理由。
はじめまして。
-プシュー

バスが目の前に停まる。

7分くらい待っただろうか。

「よいしょっ」

いつも通り、いつもの席まで歩く。

一番前の左側の席。

なんとなくこの席が好きで、1年半この席に毎日座っていた。

……が。

「え…?」

いつもの席に誰か、知らない男の人が座っている。

「ん? なんだよ」

私に気づいたのか、その男の人はこちらをにらんだ。

「い…いいえ、なんでもありません」

そうだよ。 自分を中心に地球が回ってる訳じゃないし。

しょうがないよね。

私は仕方なく、いつもの席の後ろに座ることにした。

「おい、お前」

え? さっきの男の人が私を呼んだ。

「な…なんでしょう…」

よく見るとイケメンだなぁ…

って、何を考えてんの、私。

「お前さ、夏川結衣?」

「そう…ですけど…」

な、なんで私の名前知ってるの!?

「やっぱり。 俺さ、お前嫌い」

「は、はい!?」

ちょ…、意味分かんない。
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