先生って呼ばないで ~ボクはキミのもの~
寒くなってきた通学路を、駅へ向かって黙々と歩いた。
何も考えないようにしていた。
電車に乗り込んだところで、ポケットの中の携帯が震える。
緊張して見てみると、相手は瀬里菜。
思いのほか返事が早くて、もしかしたら返事来ないかも…
とうっすら思っていた私は、瀬里菜の名前にドキリとした。
何て書いてあるのか…
見たくないような、でも見なくちゃ!
勇気を出すんだ、私!
ポチ。
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From.瀬里菜
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全然気にしてないから、大丈夫だよ
こっちこそごめんね、
何も考えずに話しかけて。
結衣が連絡をくれるまで、
私からはしないね。
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胸が締め付けられるような、何とも言えない痛みが走る。
でも、これで良い。良いんだ。
私が望んだことだから。
そのメールに私は返事をせず、携帯をポケットにしまった。
暖かい電車に揺られながら、見慣れた景色をずっと眺めていた。