先生って呼ばないで ~ボクはキミのもの~
家に着いた私は、着替えもせずにカバンだけを床に投げるように置くと、
ベッドへと身体を沈めた。
腕で顔を覆うようにして、目を瞑る。
いつもならリビングで寛ぐ私が、顔も出さずに自室へ向かったことを、お母さんは不思議に思っているだろうな。
でも、今は1人になりたい。
目を瞑っていると、昨日今日のことが頭の中をぐるぐるし始めた。
瀬里菜とはもう普通に遊んだり話したり、出来ないのかもしれない。
孝浩とももう遊べないよね。
むしろ、連絡も取れないかも。
このまま声を聴くこともなくなるの?
2人が寄り添い笑い合うところを想像してしまう。
目頭が熱くなり、鼻がツンとしてくる。
涙が目尻に浮かんで、流れそうになった。
その時。
ヴィーン ヴィーン ヴィーン……
ポケットの携帯が震えた。