先生って呼ばないで ~ボクはキミのもの~
「今日は珍しく、一緒にいないんだね。」
先生の指差している方向には……
他の子たちと笑い合う瀬里奈の姿があった。
まさか椎名先生にも言われるなんて。
びっくりしてしまって、反応が遅れた私に
「いつも一緒にいたから。
何かあったの?」
先生は少しだけ笑顔で、でも少しまずかったかなという顔で尋ねてきた。
誤魔化すことも出来た。
何でもないですよーって笑って言えば済むこと。
分かっているのに。
何故か私は"何でもない"の一言が言えなかった。
「何か…あったんだね。」
無理には話さなくていいよ。
という雰囲気を出してくる先生に、何故か私は話し始めていた。
「私が好きだった人と……瀬里奈が付き合い始めたんです。」
言葉にすると余計に悲しい気持ちになるのは何故なんだろう。
こんな所で泣いたらいけないのに。
ツンとしてくる鼻の奥。
握った手のひらにギュッと力を入れた。