先生って呼ばないで ~ボクはキミのもの~
とにかく家に帰ろう。
そう思って、靴箱に向かいローファーに履き替える。
耳にイヤホンを付けながら、出口へと向かおうとすると…
「あっ」
出くわした、親友。
瀬里菜もびっくりした顔をしている。
ヤバい。
何て話せばいいか分からない。
ズキズキ痛む胸が、まだ親友とは会いたくないと訴えていた。
「あ、あのねっ。結……」
何か話そうとする親友の言葉を無視するように、私はイヤホンをつけ早足で歩き去った。
自分のローファーだけを見て。
一瞬、泣きそうな顔の瀬里菜が横目で見えた気がした。
でも、それ以上に泣きそうな顔をしているであろう私は、
そのまま無視して、弾かれたように足早にその場を去った。
そうする以外、どうしたら良かったのか分からなかった。