こいびとごっこ
私の腕を掴んだまま校門を抜けて左に曲がる。
急いで出てきたからか周りに生徒はほとんどいなかった。
変な噂がたったら困るから不幸中の幸いと言えるだろう。
というかいい加減手を離してほしい。
「あの…痛いんですけど」
「ごめんごめん」
口では謝ってるけど私の言葉なんて
聞き入れる気はなさそうだ。
余裕な態度が癪に障る。
彼にはどこか目的地はあるようで
向かう足にまよいはなかった。
しばらく彼にひっぱられたまま歩いていると
どこかの公園に行き着いた。
「月岡はそこらへんに座ってて。
飲み物買ってくるから」
と言われたので大人しく指示に従うことにする。
ここまできたらもう逃げられないだろうし。
とりあえず目に入ったブランコに腰掛けておく。