こいびとごっこ


コーヒーを捨てると彼は私の隣のブランコに腰掛けた。


その表情は今日みたどの瞬間よりも真剣なもので


「あのさ、昼間の話うそじゃないから」


多分ここに連れてきた目的はあの話のためなんだろう。

冗談じゃなかったことは彼の目を見たらわかった。


「理由はまだ言えないけど、どうしても月岡に頼みたいんだ

彼女っていってもフリだけでいいし」


真っ直ぐに私を見つめてくる。

黒鳥という名前のとおりの綺麗な黒い瞳に
射抜かれて何も考えられない。

悔しいけど自分でも心拍数が上がってるのがわかる。

彼を見ているだけで自分のペースが乱されていく。



だけど私が彼の言葉に従う義理も義務もないし。

断ろうと思って口を開いたところを遮られる。



「じゃ、そういうことで!」




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