こいびとごっこ

彼は笑ってはいたけど有無を言わせない迫力があった。

圧倒されて思わず視線を逸らしてしまう。


だけど彼女のフリを認める気にもなれなくて聞こえなかったことにしておく。


私も彼もその場から動かない。

気まずい空気が漂うなか時間だけが過ぎていく。



そんな雰囲気を一気に作り変える彼の表情。

さっきの迫力のある笑顔とは打って変わって今の笑顔は無邪気な子供のようだった。


無視されたことに気づいていないのか

それとも無言を肯定ととったのか

とにかく彼はいきなりご機嫌になったようだ。


私の頭をぽん、と叩いて私の前を通り過ぎる。

彼は公園の外に行って、戻ってくることはなかった。


歩きながらなにか言っていたみたいだったけど

その言葉は風に流されて内容までは理解できなかった。


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