声をくれた君に
”珠李へ
この手紙を読んでいるということは、珠李が大人になったってことね。
18歳くらいかな。
珠李が大人になるまで生きれないみたいなので、この手紙をお父さんに託すことにしました。
たくさんお見舞いに来てくれてありがとう。
とっても嬉しいです。
お母さんには言葉で表すことしかできないけど、ちゃんと伝わってたかな?
いつも一緒にいてあげられなくてごめんね。
きっと寂しい思い、いっぱいしたんだよね。
でも、珠李は絶対寂しいなんて言わなかったよね。
こんなに強い子に育ってくれたのは、きっとお父さんのおかげね。
珠李が小学生だった時、私に読んでくれた作文を、今でもはっきりと覚えています。
『私の将来の夢は、歌手になることです。
歌うことが大好きだからです』
あの時、歌ってくれたよね。
珠李の声は、透き通るような綺麗な声で、お父さんもお母さんも、珠李の声が大好きです。
それに、珠李の声で、私はいつも元気になれたの。
病気と闘ってこれたの。
あなたの声が、いつだって私を支えてくれた。
だから、その声で、たくさんの人を支えてほしい。
元気にしてほしい。
勇気を与えてほしい。
だから、絶対に夢を叶えてください。
そしてお母さんにたくさん歌を聞かせてください。
どこにいたって、ちゃんと聞こえてるからね。
そして、たくさん笑って、幸せになってください。
それがお母さんにとっての幸せで、最初で最後の夢です。
お母さんは珠李に何もしてあげられないけど
それでも、誰よりも珠李のことを応援しています。
珠李、生まれてきてくれてありがとう。
元気に育ってくれてありがとう。
珠李の夢が叶いますように。
お母さんより”