声をくれた君に
- 珠李side -
「ただいまー」
私はレコーディングに収録、取材など、すべてのスケジュールを終え
わりと遅めの時間に帰宅した。
(あれ、電気ついてない…
私の方が絶対遅いと思ってたのに)
リビングの電気をつけると
「あ!」
ソファに、大きな体が横たわっていた。
「悠梓くん、寝てる…」
私は彼の顔の前にしゃがみこんだ。
長いまつげ、筋の通った鼻、きめ細かい肌。
(私の旦那さんはやっぱりイケメンだなー、なんて)
「悠梓くーん」
私は彼のほっぺたをつついてみた。
「ん…珠李…」
彼は幸せそうな顔で、私の名前を呟いた。
(ふふっ、どんな夢見てるんだろう)
私は悠梓くんを起こさないように、そっと立ち上がった
つもりだったのだが
「うーん…
珠李、帰ったのか?」
(あ、起こしちゃった…)
「ただいま、悠梓くん」
「おかえり」
彼は眩しそうに目をこすっていた。
(猫みたい…)