声をくれた君に


「そういえば、あんたの制服

乾燥機かけといたから」

「ありがとう、助かるよ」

「あと2時間くらいかかるけど、どうする?」

「あ、そっか、どうしよう…」

(明日制服ないと困るし…)

「まあ、その格好で帰すわけにもいかないよな…

勉強、教えてやる」

「え、ほんと?!」

「その代わり、俺は厳しいからな」

「はーい。

よろしくお願いします、佐野先生!」

「その呼び方はヤメロ」

(あ、照れてる…)

こうして私は悠梓くんに勉強を教えてもらうことになった。

「じゃあ古典教えて?

現代語訳とかわかんなくて…」

「わかった。

とりあえずできるところまでは自分でやれ。

わからなくなったら呼んで」

そう言って彼は私の後ろで雑誌を読み始めた。

「悠梓くんは勉強しないの?」

「俺はやらなくても…」

「あ、いいです、その先は言わなくても」

「そうか」

(勉強しなくてもできちゃうんだよね。

はあ、頑張ろう)

私はひとり、机に向かった。


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