声をくれた君に
小学生になっても、私はみんなと違った。
入学式、運動会、音楽会、参観日、卒業式
いつも見ていてくれたのは、私のお父さんだった。
いつだって周りを見渡せば、みんなはお母さんと一緒にいた。
参観日とかは、特にそれが顕著に現れた。
教室の後ろにズラリと並ぶ女の人の中にひとりだけ男の人。
私のお父さん。
今考えてみたら、それってお父さんにとって結構居心地悪かったと思う。
それでも、頑張って仕事を休んで見に来てくれた。
それなのに、私はみんなと違うことが気に食わなかった。
参観日の日の夜は、いつもお父さんを責めた。
「どうして私だけお父さんが来るの!
なんでみんなと違うの!!」
「お母さんは今だって病院で頑張ってるんだよ。
お母さんの代わりならお父さんがいくらだってしてやるから、な?」
お父さんは泣きじゃくる私の頭を優しく撫でた。
だけど、当時の私は物分りが悪かった。
「代わりなんてしなくていいよ!
みんなと違うなんて嫌だ。
だからもう来ないで!」
私はお父さんの手を振り払って、自分の部屋に閉じこもった。
それでもお母さんの代わりにずっと来続けてくれたお父さん。
そんな優しいお父さんに、どうして私は傷つけるようなことしか言えなかったんだろう。