声をくれた君に

「で、あんたは呼んでくれないの？」

「え？」

「佐野くんのまま？」

(あ、そっか、そうだよね…

さっきは勢いで言えたけど、冷静になると結構照れ臭いものが…)

「ゆ、ゆうし…くん？」

「呼び捨て」

「…悠梓」

(難易度高すぎる…！)

「くん付けからでお願いします…」

「仕方ねーな。

じゃあくん付けでいいからもう一回練習、ほら」

(容赦ないな…Ｓっ気もアップしてる)

私は観念してもう一度彼の名前を呼ぶことにした。

「…悠梓くん？」

「お、おう…」

(ん？照れた？？)

「それはやめろ」

「へ？ ふむっ」

彼は片手で私の両頬を掴んだ。

「上目遣い禁止令、俺が死ぬ」

(そ、そんなこと言われても身長差的に無理が…

ていうか)

照れたり、怒ったり、意地悪になったり、優しくなったり

(コロコロ変わっておもしろいな…

それに、どの悠梓くんも大好きだ！)