声をくれた君に
「ほら、教室ついたから
そのゆるゆるなほっぺたやめろ」
「えっ?!」
私は慌てて両手でほっぺたを押さえた。
「ふっ、変な顔」
「誰のせいだと…」
そんな風に普通に会話をする私たちを見て、クラスの人たちが一瞬固まった。
「櫻田が…」
「しゃべってる…?」
「しゃべれるように…なりました…?」
(っていう報告はおかしいかな?)
なんて不安に思っていると、クラスのみんなが私の方に集まってきた。
「すげー!櫻田がしゃべってる!」
「なんで?!どうやったら声出たの!」
「つーか櫻田がニコニコしてるところはじめてみた…」
「たしかに!
いっつも無表情な感じでって…」
「それって俺らが悪いんじゃない?」
「あ…」
一気に気まずい空気が流れた。
「ごめん、俺ら小田さんに逆らえなくて…
いや、それだけじゃない、楽しんでた
ほんと、ごめん…」
「私もごめん、櫻田さんは何も悪くないのに…」
みんなが口々に私に謝りはじめた。
そんな中、悠梓くんが横で口を開いた。