声をくれた君に


「私は…

確かにずっと辛かった。

クラスのみんなが敵で、居場所がなくて

それでも学校に来てたのは、ただ私が負けず嫌いだったから。

最初はね」

みんなは私の声に耳を傾けていた。

「でも、最近は

佐野くんが私のことたくさん助けてくれて…

だから学校に行く意味を見つけたの。

それに考え方もどんどん変わっていった」

それは全然佐野くんの優しさのおかげだ。

「最初は正直、クラスのやつら全員くだらない、とか思ってた。

不愉快だって思ってた。

だから私にはみんなを怒る権利なんて本当はないんだと思う。

だから、謝ったりしなくていい」

口に出さなかっただけで、態度に出さなかっただけで

みんなのことを蔑んでいた。

本当は私が一番ズルいことしてたのかもしれない。

「でも今はそうは思ってない。

私がみんなを知らなかっただけで

ひとりひとりをちゃんと知ろうとしなかっただけで

きっとみんなはいい人なんだと思う」

私はみんなにはにかんでみせた。

< 99 / 209 >

この作品をシェア

pagetop