声をくれた君に
「私は…
確かにずっと辛かった。
クラスのみんなが敵で、居場所がなくて
それでも学校に来てたのは、ただ私が負けず嫌いだったから。
最初はね」
みんなは私の声に耳を傾けていた。
「でも、最近は
佐野くんが私のことたくさん助けてくれて…
だから学校に行く意味を見つけたの。
それに考え方もどんどん変わっていった」
それは全然佐野くんの優しさのおかげだ。
「最初は正直、クラスのやつら全員くだらない、とか思ってた。
不愉快だって思ってた。
だから私にはみんなを怒る権利なんて本当はないんだと思う。
だから、謝ったりしなくていい」
口に出さなかっただけで、態度に出さなかっただけで
みんなのことを蔑んでいた。
本当は私が一番ズルいことしてたのかもしれない。
「でも今はそうは思ってない。
私がみんなを知らなかっただけで
ひとりひとりをちゃんと知ろうとしなかっただけで
きっとみんなはいい人なんだと思う」
私はみんなにはにかんでみせた。