半歩前の好き

溜め息radio exercises












ポロシャツと膝丈のズボン。

バッと着て、外に出る。



「あー、守。
サンダルとか、まさかやる気ないなー⁈」

「そのまさかだよ」



ってかまさかじゃない。

誰が小6になってまでラジオ体操に行きたいと思うか。

もう俺と千夏くらいしか行ってねぇっつの。



「あ、ちなっちゃん。いつもごめんねー」

「おばちゃーん! 大丈夫だよ」

「もうこの子ったらちなっちゃんの言うことしかきかなくてねぇ。
ほんと、ちなっちゃんのことがす、」

「うわぁあああああ母さん!
遅刻する! から! 行ってくる!」



あの母親ほんと恐ろしい。

ありえない。

お願いです本気でやめて下さい。



ダーッと走り出すと、後ろから「じゃ、行ってきまーす」という明るい声。

帰ってきたらパッキンアイス用意してるわねー、とかなんでそんな仲いいわけ。



「守、置いて行かないでよー。酷いなー」

「……」



うるさいうるさいうるさい。

お前になくても俺には色んな事情があるんだ。






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