半歩前の好き
単純important
*
「よーっし帰るぞー!
そんでアイスだやったー!」
帰り道を歩きながら千夏は元気いっぱい。
オレンジ色のオーラが眩しい。
目に痛い。
「パッキンアイスってことはソーダじゃん!」
棒付きのソーダアイス。
それは横に繋がっていて、間にくぼみがあるから、そこからふたつに割るんだ。
まぁ、味は普通だな。
「あたし、アイスはソーダが一番好きー。ソーダは夏って感じだよね!」
「そうだな」
空きっ腹にアイスを食わされる俺の気持ちはドコデスカ。
「あれ、守?」
「……あー、ともや」
ともや。
クラスメート。
冷やかしが趣味。
そんな感じの男子。
つまり、面倒い。
「また千夏といんの?
お前ら仲よすぎだろー」
にやにや、にまにま。
気持ち悪い顔。
「やっぱさー、ふたりってできてんの? クラスでも一緒にいること多いしなー」
「でき……っ、ばばばばっかじゃねぇの⁈」
大きな声をあげた俺の肩にポンッと手を置いたのは……まさかの千夏。
「まぁまぁ、落ち着きたまえ、守くん」
お前誰だよ。