おとなしくアタシに溺れなさい!
お母さんが、アタシに椅子を差し出してくれる。


でもアタシはそれに座らなかった。


「アタシ…凪君が好きなんです」


麻友ちゃんにも聞こえるよう、アタシは言った。


お母さんはなんとなく察していたのか、「そうなの」と、優しく言った。


「でも、凪君…全然笑ってくれなくて…すごく冷たくて、歩調だって合わせてくれなくて」
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