LINK 番外編 序章
数分間吸血すると、

傷口を舐めて塞ぎ、

萌黄をみつめた。

「大丈夫だ…。

それより、

お前に名前を

やらねばな…」


萌黄はふと空を見上げて

呟く。

「…朔…夜…」

「…さ…くや…?」

男が聞き直す。

「そうだ。

新月の夜を朔という。

朔の夜に出逢ったから

朔夜【サクヤ】だ」

「…朔夜…」

男は改めて言葉にする。

「…ようやく声が出るよ

うになったか…。

オレは、久遠萌黄だ」

「モエギ?」

「あぁ…」

「萌黄、ずっと待ってた」

男…朔夜は萌黄に全体重

で抱き着く。

「…重い…」

彼は萌黄より身長も高い。

そして、髪も長く彼女の
体にまとわりついている。

「ゴメン…。

でも、嬉しくて…」

「…喜んでいる所悪いが、

条件つけさせてもらう」

突然のことに朔夜は

きょとんとする。

「オレを独りにするな。

命は絶対だ。

そして…

自分を大事にしろ…」

萌黄の出した条件に

朔夜はクスクス笑い出した。

「OK! Master!

誓う!誓います!

一生をかけて

萌黄の傍にいると…」

彼女の手をとると

甲に口づける。
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