屋上共犯者。





タクトはくっ、と楽しそうに肩を揺らした。


「大事にしたほうがいいよ、

ファーストキスは。


一番最初のキスは、一生忘れられないんだから」



もう怒るのにも疲れちゃった。



「……それも嘘?」



タクトは嘘ばっかりつくから、

何を言われても何となくうたがうクセがついてしまった。


「いや? 人によるんじゃないの?

でも、十五回目のキスを覚えてる人はいなくても、

最初のキスならたいていの人は覚えてるんじゃない?」



……そっか。


私はなんとなく納得した気分になって、

タクトの横顔をこっそり見つめた。




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