無口なカレとの甘い恋
「手なんて振ってんじゃないわよ。あのねぇ、お客さんはアンタの友達じゃないのよ」
冷たい声にハッとして横を見ると、鬼のような形相を浮かべたサトコさんが立っていた。
げっ!!
腰に手を当ててあたしを冷めた目で見降ろすサトコさんに思わず身構える。
きっと『今すぐ帰れ!!』と怒鳴られるに違いない。
そうだった……。
あたし、お店を少し見たらすぐに帰るつもりだったのに居座ってるし……。
サトコさんが怒るのも無理はない……。
「ご、ごめんなさい!!あたし、今すぐに帰りま……――」
「……――でも、ありがとう。多分、あたしが接客したらあの子帰っちゃったと思うから」
「え?」
ありがとう……?
意外な発言に目を丸くする。