無口なカレとの甘い恋
「あたしは別にいいけど。最近、忙しいし。姫子にやる気があるならの話だけど」
って、サトコさんってば今サラッとあたしのことを『姫子』って呼んでくれた。
や、ヤバい。同性のサトコさんから名前を呼ばれただけでドキッとしてしまった。
「よし。サトコからのOKは出た。ということで、姫ちゃん、いいかな?」
「いやぁ……あのぉ……海星君が嫌がるんじゃないかなぁって思うんですけど」
海星君はあたしがここでバイトを始めるって言ったらどんな反応を示すんだろう。
学校でもバイトでも顔を合わせるわけだし……。
「……――お前がやりたいんならやれば?」
すると、背後で低くかすれた声がした。