無口なカレとの甘い恋
「……――おばさん、ごちそうさまでした。また来ます」
うちから出てきた見覚えのある人影。
「伊織君……?」
「あれ。姫子と……一条君……か。ここで何してんの?」
「伊織君こそ、うちで何してたの?」
ジーンズにロンTというラフな格好で出てきた伊織君。
伊織君は目を細めてジッとあたしを見つめた。
「姫子、もしかして、風邪ひいた?」
「えっ?」
「声がいつもと違う。それに、目もトロンってしてる。熱あるだろ?」
伊織君は昔からあたしの体調に敏感だった。
伊織君がそっとあたしのおでこに手を伸ばそうとした時、海星君が伊織君の手首を掴んだ。