無口なカレとの甘い恋

「へぇ……。俺も少し我慢しすぎだったかな」


伊織君はそう言うと、ハァと小さなため息をついた。


「ねぇ、姫子。ずっと俺の好きな人が誰かって聞いてきたよね?」


「うん」


「それね、姫子。俺、姫子が好きなんだよ。ずっと前から」


伊織君があたしのことを好きなのは知ってる。


幼い頃から『姫子、大好き!』って言ってくれていたから。


それなのに、何で急にそんな分かり切ったことを言っているんだろう……。


しかも、こんなタイミングで。


不思議に思いながらもあたしはこう答えた。


「うん、あたしも伊織君が好きだよ」


あたしがそう答えると、今度は隣にいた海星君がハァと盛大なため息を吐いた。


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