無口なカレとの甘い恋

「そういえばさ、姫子って本当に一条君と付き合ってるの?」


勉強に一区切りがついたとき、机に肘を突いた伊織君が問いかけた。


「うーん……どうなんだろう。あたしはそのつもりだけど」


「あたしはって?」


「あたし達は、ベストカップル賞に選ばれたって言うだけだし……。海星君に好きって言われてもいないの」


「へぇ。じゃあ、正式に付き合ってるわけではないってこと?」


「悲しいけど……そうだと思う。でもね、あたしは好きだよ。海星君のこと」


ニコッと笑いながら言うと、伊織君が「ふぅん」と気のない返事をした。
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