無口なカレとの甘い恋
「今日、風強いね~」
何気なく視線を窓に向ける。
「……――あっ!!海星君だ!!」
その時、校門に向かって一人で歩く海星君の後ろ姿が目に飛び込んできた。
海星君があんなところにいる!!
バイバイって、言いたい!!
名前を呼んだら……返事をしてくれるかな?
椅子から勢いよく立ち上がったあたし。
頭を撫でていた伊織君の手がスッとあたしから離れる。
「姫子の目には、一条君しか入ってないんだな」
「え?何か言った?」
「何でもないよ」
小さく首を横に振る伊織君の態度を不思議に思いながらも、あたしは窓際に駆け寄り窓を全開にした。