無口なカレとの甘い恋

「わっ!!」


ハッとして音の方を見たあたしは驚いて目を見開いた。


海星君がゴミ箱を蹴ったんだろう。


入口の近くに置いてあったごみ箱がはるか遠くへ飛ぶように転がっていく。


そのルートをたどるように、紙ごみが辺りに散乱した。


「か、海星君……?」


ど、どうして急にゴミ箱を蹴り上げたんだろう……。


中学時代に荒れていたっていう話は聞いていたけど、高校に入学してからは特にトラブルを起こすことはなかった。


ましてや、こうやってゴミ箱を蹴ることもなかったはず。


教室内ではいるかいないのか分からないほどに静かだ。


っていうのも、いつも寝ているからだけど。


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